唾液腺疾患とは?
唾液腺は、口のまわりに存在する唾液をつくる器官の総称です。
耳下腺(耳の前下)、顎下腺(顎の下)、舌下腺(口腔底)、小唾液腺(口腔内に多数存在)に分類され、このいずれかで異常をきたしている病気を、唾液腺疾患と呼びます。
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
ムンプスウイルス感染後、2~3週間の潜伏期間を経て発症する病気です。
ほとんどが15歳以下におこり、なかでも5~10歳頃の発症が多く確認されています。
ウイルスは唾液を介し、飛沫・接触感染します。
髄膜炎、脳炎、ムンプス難聴などの合併症にも注意が必要です。
主な症状
左右どちらかの耳下腺の腫れから始まり、その後もう片方の耳下腺も腫れるようになるのが一般的です。同時に痛み、発熱などを伴います。
また約半数の症例で、顎下腺、舌下線が腫れます。頭痛、腹痛が生じることもあります。
検査・診断方法
問診の上、血液検査、超音波検査などを行い、総合的に診断します。
治療法
特別な治療法はなく、対症療法によって症状を和らげ、合併症に注意を払いながら経過観察します。
耳下腺の痛みが強い場合には、鎮痛解熱剤を使用します。
唾石症
唾液腺でつくられた唾液が、口の中に出ていく時に通る管を唾液管と言います。そこにカルシウム塩でできた唾石が詰まることにより唾液が停滞し、唾液腺が腫れる病気です。
症状
顎下腺の腫れ、痛みが生じます。唾石症は顎下腺に起こることがほとんどで、耳下腺に起こることはまれです。
検査・診断方法
触診、超音波検査、CT検査などを行い診断します。
治療法
感染を合併しているときは抗生物質が必要です。
唾石が口腔内から触れる場合は、口腔内を切開して唾石を摘出します。口腔内から触れない場合、顎下腺内に存在する場合は、首を切開し顎下腺ごと摘出する手術が必要になります。
症状が軽い場合は、経過観察を続けて唾石の自然排出を待つことがあります。
唾液腺腫瘍
唾液腺に生じる腫瘍です。腫瘍は良性・悪性に分けられ、いろいろな性質の腫瘍があります。
症状
おもに耳下腺、顎下腺に腫れやしこりが生じます。局所的な痛み、赤みが生じることもあります。
検査・診断方法
触診、超音波検査、CT・MRI検査、注射器で腫瘤の細胞を採取(穿刺吸引細胞診)して診断します。
治療法
手術による摘出が必要となるケースが多くなります。