アレルギー性鼻炎について
主な症状
くしゃみ、鼻水、鼻づまりが代表的な症状です。
鼻水は透明でさらさらしています。くしゃみは、一度出ると連続することが多くなります。
アレルギー性鼻炎の種類と対策
季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)
特定の花粉が飛散する時期に症状が現れます。
外出時にはマスクや花粉用ゴーグルの着用し、帰宅時には上着などの花粉を落とすことで対策が可能です。
通年性アレルギー性鼻炎
ハウスダストなどを原因として発症するため、1年中症状が現れます。
小まめな掃除と換気、カーペット・布製クッション・布製ソファの不使用などで対策します。
治療法
アレルギー反応を抑える薬の内服・点鼻・点眼や、ネブライザーによる薬の吸入などが基本的な治療です。
少量ずつアレルゲンを取り入れて慣れさせる舌下免疫療法も行われます。
舌下免疫療法について詳しくはこちら
鼻づまりなどの症状がひどく、薬物療法では改善しない場合には、手術を行うこともあります。
副鼻腔炎(蓄膿症)について
長引く鼻かぜ・ドロッとした鼻水・鼻づまり
風邪が治ってもいつまでも鼻水が止まらない・鼻づまり・ドロッとした鼻水がのどに引っかかる感じが続いているときは、副鼻腔炎になっているかもしれません。副鼻腔とは、鼻腔(鼻の穴)のまわりにある左右4対の空洞のことを指します。そしてこの副鼻腔で炎症が起こっている状態が、副鼻腔炎です。
細菌やウイルスの侵入によって感染・発症し、粘り気のある鼻水や鼻づまりといった症状をきたします。
鼻水を放置すると
鼻水・鼻づまりといったよく見られる症状を主体とすることから、「風邪かな?」と放置してしまうケースも少なくありません。
副鼻腔炎が慢性化する(慢性副鼻腔炎)と、粘り気のある鼻水や鼻詰まりといった症状の悪化、倦怠感、頭が重い感じ、顔面の痛み、嗅覚障害などをきたすこともあります。
近年では、アレルギー性鼻炎や気管支喘息を合併する可能性が高まることも分かっています。
急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎のちがい
急性副鼻腔炎
その名の通り、短期間で治る副鼻腔炎を急性副鼻腔炎と呼びます。
細菌やウイルスによって鼻腔粘膜が腫れ、副鼻腔の換気が悪化し、粘り気のある鼻水、鼻づまり、あるいは発熱などの症状をきたします。
治療では、抗生物質や炎症を抑える点鼻薬の投与、鼻洗浄、ネブライザー療法などが行われます。
慢性副鼻腔炎
副鼻腔炎が慢性化し、3カ月以上続いている状態を指します。
粘り気のある鼻水、鼻詰まりの症状が悪化し、倦怠感、頭が重い感じ、顔面の痛み、嗅覚障害などをきたすこともあります。
治療では、抗生物質や炎症を抑える点鼻薬の使用、鼻洗浄、ネブライザー療法などが行われます。薬物療法での改善が難しい場合、鼻ポリープが多数生じている場合、気管支喘息を合併している方、嗅覚障害の持続している方は、難治性であり
手術が必要になることもあります。
副鼻腔炎の予防法
風邪をひかないこと・早く治すこと
副鼻腔炎は、細菌やウイルスの感染を原因として起こる病気です。つまり、風邪が副鼻腔炎を誘発しやすいということが言えます。
バランスの良い食事や十分な睡眠、またマスクの着用や手洗いうがいといったことが、風邪、そして副鼻腔炎の予防にもっとも有効です。また、風邪が長引くと、それだけ副鼻腔炎の発症のリスクを高めます。風邪にかかったときにできるだけ早く治すことも大切です。
鼻の中を清潔にしておく
鼻水は、細菌やウイルス、あるいは埃などの異物を外に出す働きを担っています。鼻水が出るときには、小まめにかむようにしましょう。鼻洗浄や鼻水の吸引も有効です。
アレルギー性鼻炎がある場合にはその治療を
通年性・季節性のアレルギー性鼻炎は、副鼻腔炎を合併しやすいため、それらをきちんと治療しておくことも予防に役立ちます。
鼻出血について
多くの方が一度は経験したことのある、いわゆる“鼻血”のことです。
原因
鼻の中を触ったことを原因とするケースが大半です。また、その背景にアレルギー性鼻炎によるかゆみや副鼻腔炎による違和感があることもあります。その他、事故などの外傷によって出血することもあります。
また、血液をサラサラにするお薬を飲んでいる方、高血圧、肝臓病、血液疾患を抱えている方は、鼻出血が起こりやすくなっています。
鼻血を止める方法
急に鼻出血が起こった場合には、以下の方法を試してみてください。
この方法で止血できないとき、一旦止血できるけれど何度も繰り返すときには、耳鼻咽喉科を受診してください。
①椅子に座り、上半身を少し前に倒します。
②両小鼻を指で摘まみ、強く押さえます。
③15分ほどそのままの状態を維持します。のどの方に鼻出血が流れた場合には、唾を吐くようにして口から出してください。飲み込んでしまうと、気分が悪くなり吐き気をもよおすことがあります。
嗅覚障害
においを感知する経路のいずれかが障害され、においを正しく感じられない状態を「嗅覚障害」といいます。
必ずしもにおいに鈍感になるとは限りません。過敏になったり、違うにおいに変換されて感知されたりといったケースも、嗅覚障害に含まれます。
嗅覚障害の種類
呼吸性嗅覚障害
鼻での呼吸ができないために起こる嗅覚障害です。
神経性嗅覚障害
においを感知する神経がうまく機能せずに起こる嗅覚障害です。
中枢性嗅覚障害
感知したにおいの情報を、脳で正しく認識できない嗅覚障害です。
原因
慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎に伴う鼻づまり(呼吸性嗅覚障害)、風邪に伴う嗅上皮の障害など(神経性嗅覚障害)、何らかの病気を原因として嗅覚障害が起こるケースが多くなります。
その他、頭部を強く打ったときに起こる嗅覚障害、原因不明の嗅覚障害なども見られます。
診断方法
問診の上、慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎が疑われる場合には、その検査を行います。
必要に応じて、ニンニク臭のある薬剤を注射した上で呼気のにおいを感知できるかを調べる「アリナミンテスト」などを行い診断します。
治療法
慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎が認められる場合には、その治療を行います。
嗅上皮の障害に対しては、漢方薬やステロイドの点鼻薬を使用します。