中耳炎とは?
耳の外耳・中耳・内耳のうち、真ん中の中耳で起こる炎症を中耳炎といいます。
急性中耳炎
かぜのときに、鼻・のどに付着した細菌・ウイルスが耳管を通して中耳に入り込んで起こる、急性の中耳炎です。
お子様によく見られます。
主な症状
耳の強い痛みが特徴的です。その他、発熱、耳垂れ、耳閉感などの症状が現れます。
赤ちゃんの場合、症状をうまく伝えられないため、機嫌が悪くなったり、耳を気にする仕草があるときには注意が必要です。
治療法
軽症の場合には鎮痛剤のみで治癒することがほとんどです。
中等症以上の場合は抗生物質が必要となります。症状が強い場合や、抗生物質の投与で十分な効果が得られない場合には、鼓膜切開を行います。
切開した鼓膜は、通常数日で再生し元通りになります。
滲出性中耳炎
急性中耳炎、かぜ、扁桃腺の肥大などを原因とし、耳の中の圧力が低下することで、中耳のまわりの組織から液体が滲みだし炎症を起こす病気です。
主な症状
難聴、耳閉感などの症状が見られます。痛みはありません。
お子様の場合、ご自身で難聴に気づくことは難しいため、テレビの音が大きい、呼んでも反応しないといった変化に注意してください。
治療法
確立された治療法はありませんが、自然に良くなることも多いです。
お子様の場合、難聴によって発達に支障をきたすこともあるため、早期の診断と鼓膜チューブ挿入術の必要性を判断することが大切です。
鼓膜チューブ挿入術は、切開した鼓膜に小型のチューブを挿入し、中耳の換気を良くする手術です。
繰り返す中耳炎を予防するためには
鼻かみ、鼻吸引、鼻の洗浄などによって、鼻水症状の軽減を図ることで、耳管が正しく機能し、中耳炎の予防効果が期待できます。鼻吸引は耳鼻咽喉科でも受けていただけますが、市販されている鼻吸い器をご購入の上、気になったときにすぐに対応できるようにしておくことをおすすめします。
ただし、過度の鼻吸引や洗浄、鼻水を止める薬のむやみな服用などは、鼻本来の機能を損なうこともあります。まずはご相談いただき、お一人お一人に合った適切な予防法を見つけていただければと思います。
お子様のこんな症状は中耳炎かも?
お子様の場合、症状が現れていても、気づけない・伝えられないということがあります。
以下のような場合には、急性中耳炎の可能性があります。
- かぜをひいてからなかなか熱が下がらない。
- 耳を気にしている、手で触る。
- 理由なく泣き続けている。
- ずっと不機嫌が続いている。
どうして子どもは中耳炎を繰り返すのか
中耳炎は、鼻、喉に付着したウイルスや細菌が、耳管を通って中耳に入り込むことで起こる病気です。
お子様の場合、大人と比べて耳管が太く短く、さらに傾斜が少ないため、ウイルス・細菌の中耳への侵入を許しやすく、それに比例して中耳炎も発症しやすくなるのです。
ご家庭での応急処置
夜中にお子様が急性中耳炎を発症したとき、保護者様は大変驚かれます。ただ、慌てる必要はありません。まずは応急処置を行い、その上でその後の判断をするようにしましょう。
痛みをとって、翌日の午前中に受診
冷たいタオルなどで耳を冷やします。耳垂れがある場合には、一度拭き取った上で綿球やガーゼなどをサージカルテープでとめ、外に流れないようにします。
また、子ども用の解熱鎮痛剤があれば飲ませてください。ただし、抗生物質や大人用の痛み止めなどは飲ませないでください。
痛みが取れた様子が確認できれば、その日は安静にして眠らせ、翌日の午前中に耳鼻咽喉科を受診してください。
痛みが取れないときには救急外来へ。翌日にも必ず耳鼻咽喉科を受診
応急処置で痛みが取れない場合は、救急病院を受診してください。ただし、翌日にも必ず耳鼻咽喉科を受診するようにしてください。
保育園・学校はいつからOK?
症状が治まっていれば、登園・登校が可能です。ただし、細菌・ウイルスが残っていて、咳やくしゃみなどでまわりにうつしてしまうこともあるため、医師に相談した上で登園・登校の再開を決められることをおすすめします。
入浴・プールはいつからOK?
高熱が続いている場合、耳の痛みがひどい場合を除き、お風呂は普段通り入ってくださって結構です。
プールは、塩素が粘膜を刺激することがありますので、必ず医師に相談した上で入るようにしてください。